ただいま試験運用中です。少しお待ちください。。。

ムーブメント紹介 4 Cal.5626

ムーブメント紹介 4 Cal.5626

スペック

メーカーSEIKOキャリバーNO.Cal.5626
振動数8振動(28,800)製造地諏訪(諏訪精工舎)
動力ゼンマイ(自動巻き)機能秒針規制・日付・曜日・手巻き
石数25石バリエーション5621(カレンダーなし)5625(日付のみ)
採用モデルキングセイコー・バナック・ロードマチックDX時期(およそ)1975~1976年(ロードマチックとして)
NEOアンティーク国産Watch調べ。メーカースペックと異なる可能性があります。バリエーションはロードマチック以外を指します。

概要

5626-7111(キングセイコー)のムーブメントです。私が入手してからメンテナンス歴あり。

56系ムーブメントの基礎、5606(5601・5605)を高振動化したキャリバーです。

もともとは、キングセイコー・キングセイコーバナックに使用されていました。

ロードマチックは、

諏訪精工舎(諏訪) 56系ムーブメント(5601・5605・5606・最後期には5626)1968~

第二精工舎(亀戸) 52系ムーブメント(前期5206・後期5216)1971~

と、いくつかのムーブメントが搭載されていました。

詳細は、それぞれの解説(準備中です)に譲ります。

特徴

クオーツ腕時計が登場して数年で、腕時計を取り巻く環境は一変しました。1969年末に世界初のクオーツ腕時計、セイコーアストロンが発売された頃は、そう簡単に購入できない価格帯でしたが、数年のうちに価格がこなれ、今まで日差だった精度を月差で表せるほどの正確なクオーツは市場を席巻しました。

それまでの高級機であったグランドセイコーや、キングセイコーも次第にクオーツに押される形で市場を縮小し、1976年ころのカタログを見る限り、取り扱いは激減してしまいました。

そしてその頃、ロードマチックの上位機種として「ロードマチックデラックス」が登場しました。

ロードマチック末期に存在した「デラックス」。Ref.5626-8140が示す通り、機械はCal.5626を搭載しています。

ロードマチックを名乗ってはいるが…

1976年製ロードマチックデラックス(先の写真と同じもの)。8振動ながら、「HI-BEAT」の表示はありません。
こちらは1972年製キングセイコー。「HI-BEAT」の記載が誇らしげです。

Cal.5626の特徴は振動数を除いてはCal.5606と類似で、揺動レバーの問題ももちろんあります。

1975年(カタログより)登場のロードマチックデラックスは、ペットネームこそ「ロードマチック」ですが、Refは”5626-“を示していたので、品番としてはキングセイコーに属すものになります。※1

管理者も聞いた話なのですが、高級機価格帯のキングセイコーの販売量が減り、Cal.5626に余剰が生じ、それをロードマチックに転用した経緯があるようです。

さらに聞いた話では、ロードマチックデラックスの機械の中に、固有番号※2を持ったものがあるとのこと。

本来はキングセイコークロノメーター用として調律され、検定を通し固有番号を付されたものも、流通していたようです。

現在のロードマチック好きからしたらなんとも羨ましい、例えて言えば「国鉄の乗り得列車」(変な例え)のような個体が存在するようです。

このような経緯から、市場でもロードマチックデラックスはほかのロードマチックと比べて値段が高い傾向にあるようです。まあ中身がキングセイコーですから、当然といえば当然ですが。

管理者も、ロードマチックデラックスを保有していて、機械を確認したことがありますが、残念ながら固有番号はありませんでした。このあたり、サイト更新が進んだ際に追加してゆきたいと思います。

1977年にはロードマチックは7種にまでラインアップを減らし、1978年にはカタログ落ちをしてしまいます。あまりに急激に来た転換期を象徴するモデルのようです。

※1 キングセイコーは日付なし Cal.5621・日付のみ Cal.5625・曜日あり Cal.5626というムーブメント構成でしたが、ロードマチックに搭載されたのは曜日付きのもののみです。

※2 個体番号とは、クロノメーター検定を通過させるための調律がされており、検定通過の証として本体に刻まれるものです。もっとも、ロードマチックとして販売されたときは、クロノメーター検査証などは添付されていないはずなので…