ムーブメント紹介 4 Cal.5626
- 2023.01.24
- ムーブメント紹介
- 56系, LM(ロードマチック), その他(セイコー)
スペック
メーカー | SEIKO | キャリバーNO. | Cal.5626 |
振動数 | 8振動(28,800) | 製造地 | 諏訪(諏訪精工舎) |
動力 | ゼンマイ(自動巻き) | 機能 | 秒針規制・日付・曜日・手巻き |
石数 | 25石 | バリエーション | 5621(カレンダーなし)5625(日付のみ) |
採用モデル | キングセイコー・バナック・ロードマチックDX | 時期(およそ) | 1975~1976年(ロードマチックとして) |
概要
56系ムーブメントの基礎、5606(5601・5605)を高振動化したキャリバーです。
もともとは、キングセイコー・キングセイコーバナックに使用されていました。
ロードマチックは、
諏訪精工舎(諏訪) 56系ムーブメント(5601・5605・5606・最後期には5626)1968~
第二精工舎(亀戸) 52系ムーブメント(前期5206・後期5216)1971~
と、いくつかのムーブメントが搭載されていました。
詳細は、それぞれの解説(準備中です)に譲ります。
特徴
クオーツ腕時計が登場して数年で、腕時計を取り巻く環境は一変しました。1969年末に世界初のクオーツ腕時計、セイコーアストロンが発売された頃は、そう簡単に購入できない価格帯でしたが、数年のうちに価格がこなれ、今まで日差だった精度を月差で表せるほどの正確なクオーツは市場を席巻しました。
それまでの高級機であったグランドセイコーや、キングセイコーも次第にクオーツに押される形で市場を縮小し、1976年ころのカタログを見る限り、取り扱いは激減してしまいました。
そしてその頃、ロードマチックの上位機種として「ロードマチックデラックス」が登場しました。
ロードマチックを名乗ってはいるが…
Cal.5626の特徴は振動数を除いてはCal.5606と類似で、揺動レバーの問題ももちろんあります。
1975年(カタログより)登場のロードマチックデラックスは、ペットネームこそ「ロードマチック」ですが、Refは”5626-“を示していたので、品番としてはキングセイコーに属すものになります。※1
管理者も聞いた話なのですが、高級機価格帯のキングセイコーの販売量が減り、Cal.5626に余剰が生じ、それをロードマチックに転用した経緯があるようです。
さらに聞いた話では、ロードマチックデラックスの機械の中に、固有番号※2を持ったものがあるとのこと。
本来はキングセイコークロノメーター用として調律され、検定を通し固有番号を付されたものも、流通していたようです。
現在のロードマチック好きからしたらなんとも羨ましい、例えて言えば「国鉄の乗り得列車」(変な例え)のような個体が存在するようです。
このような経緯から、市場でもロードマチックデラックスはほかのロードマチックと比べて値段が高い傾向にあるようです。まあ中身がキングセイコーですから、当然といえば当然ですが。
管理者も、ロードマチックデラックスを保有していて、機械を確認したことがありますが、残念ながら固有番号はありませんでした。このあたり、サイト更新が進んだ際に追加してゆきたいと思います。
1977年にはロードマチックは7種にまでラインアップを減らし、1978年にはカタログ落ちをしてしまいます。あまりに急激に来た転換期を象徴するモデルのようです。
※1 キングセイコーは日付なし Cal.5621・日付のみ Cal.5625・曜日あり Cal.5626というムーブメント構成でしたが、ロードマチックに搭載されたのは曜日付きのもののみです。
※2 個体番号とは、クロノメーター検定を通過させるための調律がされており、検定通過の証として本体に刻まれるものです。もっとも、ロードマチックとして販売されたときは、クロノメーター検査証などは添付されていないはずなので…
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