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ムーブメント紹介 3 Cal.5216

ムーブメント紹介 3 Cal.5216

スペック

メーカーSEIKOキャリバーNO.Cal.5216
振動数8振動(28,800)製造地亀戸(第二精工舎)
動力ゼンマイ(自動巻き)機能秒針規制・日付・曜日・手巻き
石数23石.25石特徴日付曜日瞬間切替廃止
採用モデルロードマチックスペシャル(後期)時期(およそ)1974~1976年
NEOアンティーク国産Watch調べ。メーカースペックと異なる可能性があります。

概要

5216-6040のムーブメントです。未整備の個体です。

ロードマチック商品群の中でも、第二精工舎(亀戸)生産モデルの「スペシャル」、後期型に搭載された機械です。

ロードマチックは、

諏訪精工舎(諏訪) 56系ムーブメント(5601・5605・5606・最後期には5626)1968~

第二精工舎(亀戸) 52系ムーブメント(前期5206・後期5216)1971~

と、いくつかのムーブメントが搭載されていました。

詳細は、それぞれの解説(準備中です)に譲ります。

特徴

諏訪精工舎(諏訪)製の56系ムーブメントからはじまったロードマチックは、1971年(カタログ掲載開始時期より推測)より第二精工舎(亀戸)製の52系ムーブメントを搭載した「スペシャル」を追加しましたが、52系ムーブメントの改良版として登場したのがCal.5216です。

56系・52系のムーブメントは共通性・互換性はなく、それぞれ独自の設計となっています。

ムーブメントが8振動なのはそのままですが、、カレンダーはクイックチェンジ(12時前後に曜/日とも瞬間で切り替わる)から12時を境にゆっくり変更するものとなっています。

Cal5206と同様、カレンダーの日付を手動で早送りすると(りゅうず操作は一段引きで時計回り~上方向~に動かす)、ぜんまいが一緒に巻かれます。これは前後期共通の、52系全体の特徴です。

りゅうず一段引きで反時計回り~下方向~に動かすとぜんまいは巻かれず曜日の早送りができます。

りゅうず二段引きで秒針は停止(秒針規制機能)し、時刻の調整ができます。

りゅうずを引き出さない状態で時計回り~上方向~に動かすと、ぜんまいが巻かれます。

ほかのムーブメント紹介ページでも記載したとおり、ロードマチックはりゅうずが小さく、かつケースに半分ほど埋まっているものも多く、そういうモデルは手巻きはやりにくいです。

Cal.5206はカレンダーのクイックチェンジを搭載していて格好良いのですが、機械の信頼性という意味では管理者はCal.5616が一番高いと思っています。これについては後述します。

マイナーチェンジで何が変わった?

マイナーチェンジ後のロードマチックスペシャルの文字盤表記は「ブロック体」。
対して、マイナーチェンジ前のロードマチックスペシャルの文字盤表記は「筆記体」。

1974年(カタログ掲載時期より推測)に、Cal.5206はCal.5216に置き換わっています。

これにより、56系ロードマチックと同様に、ゆっくりとカレンダーが切り替わるようになっています。

理由は、クイックチェンジ機構を採用したために「日付切替不可時間帯」※1 があったCal.5206が、日付機能に不具合を起こしやすかったため、信頼性の向上を図るため、「日付切替不可時間帯」をなくした※2 Cal.5216に改められたとされています。

管理者の主観ですが、未整備で入手した時計の中でも、カレンダーの故障がなく、精度も良好で、磨くだけで実戦復帰できる時計はCal.5216搭載のものが多い気がします※3。Cal.5206のネガティブを改良したことで、信頼性はシリーズ中で最も高いのかなと管理者は思っています。

Cal.5206のページでも紹介しましたが、見分け方としては、「オリジナルであれば」ケースの裏にあるRef.で判別できるほか、上写真の通り、文字盤の「Special」の表記が筆記体であればカレンダーはクイックチェンジするCal.5206を、ブロック体であればカレンダーはゆっくり切り替わるCal.5216を搭載しています※4。

ただし、現在流通している中古品は、修理などを経てオリジナルの状態でないこともあるので、ケースや文字盤と機械(中身)が合っていない個体もあり、その辺りは注意が必要です。

ご存じの方も多いと思いますが、2000年にセイコーがキングセイコーを復活させた際、機械は52系機械のリメイク版である4S系キャリバーが搭載されました。生産設備の関係もあったようですが、後年でも十分実用性があるムーブメントと思います。(まさに「現代を生きる」ムーブメントです)

管理者としては、振動数も含めて機械としての完成度・故障耐性も高く、Cal.5216は普段使いの時計としても、とても良いなと思っています。

※1 「日付切替不可時間帯」とは、機械内部でカレンダーの変更が行われている時間帯で、多くの時計で午後9時~午前3時くらいを指す。この時間帯に日付の早送りを行うと、内部機構の破損を起こし日付機構が壊れてしまう。

※2 Cal.5216に限らず、メーカーが「日付変更不可」の時間帯がないとうたっているモデルでも、時計が午後8時~午前4時に当たるときのカレンダー早送りは、内部で動いているカレンダー機構の負担となるので行うべきではありません。

※3 管理人の印章では、56系ムーブメントを搭載している機械はなかなかの確率でカレンダーの早送りが故障している、Cal.5206を搭載しているモデルはクイックチェンジが機能せず曜日がずれたままになっていることが多いかなと思います。ただ、個人が趣味で見ている個数なぞ知れているのでたまたまだとも思います。

※4 後年登場した「ロードマチック シルバーウェーブ」で52系の機械ながら「Special」表記のないモデルが存在することを確認しています。ほかにも存在するかもしれません。