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比較(5740-8000と5601-9000)(1)

比較(5740-8000と5601-9000)(1)

「諏訪」の2モデル

ロードマーベル

セイコーの少し古いモデルに興味のある方ですと、「ロードマーベル」というモデルを聞いたことがあると思います。

諏訪精工舎(諏訪)で生産された、「手巻き」の時計です。

登場時、高級手巻き時計としての位置づけでした。やがてグランドセイコーにその位置を譲りますが、当時から精度に関しては定評がありました。

機械はCal.5740で、登場時は18,000~5振動のA、次いで19,600~5.5振動のBを経て、36,000~10振動のCと変遷してゆきます。

この時計も息が長く、1958年の登場から1978年ごろまで販売されていました。なお、1968年には前述の10振動化が行われており、これは手巻き式としては国産初でした。

日付なし、秒針はありますが、秒針規制機構なしの非常にシンプルな時計です。

管理者の所有している個体は、文字盤のフォント部分が若干汚れていますが。。。

ケースはセイコースタイルを反映させたもの、全数字の文字盤が非常にオーソドックスな印象を与えますが、温かみのあるフォントだと思います。

そして文字盤には誇らしげに「36000」と記載されています。

ぜんまいをまく時の手巻きの感触がとても素晴らしい時計です。

ロードマチック

また、こちらの時計をご存じの方も多いと思いますが、ロードマチックにもよく似たデザインの時計が存在しました。

ロードマーベルと共通のフォントです。

こちらも息の長いモデルで、ロードマチックがデビューした時から末期まで、ラインアップにずっと存在したモデルです。

このモデルは出回り自体も多いのですが、自動巻きであること、56系の機械を搭載しながらカレンダーがないことで、常に人気があり、入手しようとするとそれなりの価格になってしまうのが悩みですが。。。

逆に言うと、ロードマチックの弱点と認識されているカレンダーがないことで、普段使いにも気を使わないで済むという面では「初めてのロードマチック」としては非常にいいかもしれません。

機械Cal.5601(日付曜日なし)で6振動(21,600)。手巻き機構はついていますが基本は自動巻きの時計です。なお、ロードマーベルでは省かれている秒針規制機構はこちらの時計にはついています。

このページの以下の解説で、ロードマチックという場合は写真の全数字のものを指しますのでご注意ください。

並べてみると

このたび管理者が、かねてから念願であったロードマチックの全数字を入手できましたので、ちょっと比較をしてみました。

よく似ているモデルですが、微差があります。

「ロードマチック」と「ロードマーベル」で名称も似ていて、頭文字はどちらもLM。デザインもよく似ています。

文字盤は、ロードマチックは「LM LORD MATIC 23 JEWELS」記載(初期型にはLMエンブレムがないものもあります)。地模様は絹目です。なお数字は、管理者の所有モデルはプレス成型(浮出)ですが、前期(1972年ごろまで)は植字(文字を別パーツにしていた)でした。

ロードマーベルの文字盤には「LORD MARVEL 36000」記載。地模様はロードマチックと同じく絹目です。数字については、管理者所有モデルは植字ですが、こちらも後半モデルからはプレス形成になります。

風防はどちらもプラです。現在装着されているものがオリジナルかどうかは不明です。

異なるポイント

このようによく似ているのですが、異なるポイントもいくつかあります。

まず、ケースのサイズが異なります。りゅうずを含まないケース外形で、ロードマーベル35ミリ/ロードマチック36ミリほどです。

またりゅうずの大きさは異なり、ロードマーベルのほうが大きいです。

なお、ケースについては本来は「ロードマーベルは皮革バンドを前提としたモデル」「ロードマチックは金属ブレスを前提としたモデル」です。(今回写真撮影の関係、またロードマチックの純正ブレスが手元にないので革バンドをつけています。)

ブレスの取り付け部分はロードマチックは弓カンをつける前提の、切れ込みの浅いデザインになっています。

ケースの横形状、厚さも異なります。

ロードマチックはワンピースケース。
手巻きのロードマーベルのほうがケースが厚いのです。スクリューバックです。

ロードマーベルは、「セイコースタイル」を忠実に具現化したようなスタイルで、ロードマチックは「ワンピースケース」の特性を生かした軽量・薄型デザインです。そのため装着感も異なります。

なお、皮革ブレスを装着した状態で重さを比べると、ロードマーベルは46.1グラム/ロードマチックは42.4グラムとロードマチックのほうが軽量でした。

管理者の印象として

並べて比較すると、ロードマーベルの方が重厚な印象で塊感がある、ロードマチックの方は軽快感があり伸びやかな印象に感じます。

これは、文字盤の12時位置SEIKO 6時の文字記載の位置も関係していると思います。ただ針の形状などは似ているので、大きな差というまではないと思います。機械や使い勝手でどちらを選んでも、いいと思います。

余談ながら、当時のセイコーはこの数字フォントが好きなようで、管理者の所有する他の時計にも、このフォントが見つかりました。こちらについては別の機会にご紹介いたします。