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趣味の、理由。(2)

趣味の、理由。(2)

趣味の、理由。(1)から続きます。

気に入った時計が、最高の時計。

驚くくらい緻密な機械

そんな経緯で購入した時計は、日付がついていないのでもっぱら休日に使用していました。

耳を近づけると精密機械を感じさせる「キンキンキンキン…」という音がします。

世間ではブランドとしての評価が先行しているけれど、機械としての満足度も非常に高い、ある意味、設計者・技術者の「やりすぎ」な時計だと感じていました。

ロレックス エアキング Ref.14000M 機械音が最高です。
ガラスの6時位置に王冠透かしが入った、機械もマイナーチェンジをしたばかりのモデルです。

同様のデザインのエクスプローラー1が大人気であることはさほど気にせず、文字盤の色と、腕が細い管理者でも使い勝手がいいかなと思いこちらを選びました。

この時計も購入してから20年が経過していることに驚きます。そして、この時計の現在の中古相場を見てさらに驚きます。こりゃ、もう買えないな。。。

ハイビート信仰

前の記事でも書いたとおり、当時は雑誌を読み漁って得た知識が大半。雑誌では、当然、新しいモノ、スペックが優れているモノを推してきます。

管理者の購入した時計は8振動(28,800)。先日修理した時計は、セイコーマチックが5.5振動(18,000)、ロードマチックも6振動(21,600)。まだ若かった管理者は、思惑(誰のだ)通りにハイビート信仰、スペック至上主義に陥りました。

半面、70年代の時計に対しては特別な感情がありました。自分が生まれたころの時計が、整備次第できちんと動くことにとても感動し、叶うなら仕事の時にする時計として、使いたいと思っていました。

スペック至上主義の行く先は

当時は、振動数が高くないと精度が不安と思っていました。まあ雑誌の影響なのですが。

また、先日修理した時計はかたや父親の若い頃の相棒・かたや形見の品。普段の仕事で壊したくないし、傷もつけたくないと感じていました。

そんな矢先に、国産のアンティークを扱っている店に立ち寄った際、見つけたのがこの時計でした。

文字盤を見て一目ぼれしてしまいました。しかも、ハイビートで日付曜日が出るというのは、理想の条件をすべてそろえていました。価格も、舶来時計より明らかに安い(これはとても重要なことです)。

で、入手したのがこの時計です。

キングセイコー Ref.5626-7111
グラデーション文字盤を初めて見たときの衝撃は今でも覚えています。こんな文字盤が管理者が生まれたころ、既にあったとは。
華奢なブレスレットは当時の雰囲気ですが、文字盤の斬新さは目を奪われました。

スペック至上主義からの決別

この時計もとても気に入り、購入してからはたまにブレスを交換しながら、ずっと使っていました。と同時に、70年代デザインのほかの時計にも興味を持ち始めました。

その頃ネット上で、時計の売買をしている個人サイトを知り、その方からも購入するようになっていました。その頃にはスペック至上主義の呪縛も解けはじめ、自分の欲しいと思った時計を入手するようになっていました。

管理者がロードマチックに大きく傾くきっかけになった、Ref.5206-6081
当時は入手できた情報が少なく、本来はカットガラスでなかった、ブレスレットが交換されていた(であろう)ことを知ったのは、ずっと後のことです。

この時計も実はハイビートなのですが(笑)、その後入手機会も多く気に入っている5606系は、ロービートながら非常に安定した、いい機械だと思っています。

今でも当然そうなのですが、カラー文字盤、グラデーション文字盤はやはりとても好きです。

それからいろいろあり、現在に至ります。その後のことはまた別の機械に機会に。

これから時計趣味を始めるひとに(ひとりごと)

今は、スマートフォンなどで正確な時間も知りやすい世の中なので、自分が腕にしている時計の時刻に正確性を全振りしなくても何とかなります。機械式時計の精度は日差2分弱なら何とかなる。

それに、ネットでの情報をもとに自分で考えて、いい意味で「自分の好きなように」時計を選べるようになりました。入手も、店舗で購入するころに比べたら容易になりました。

雑誌での情報は有益なもの、蘊蓄として優れているものもたくさんあり、非常に助かるものである反面、市場の価値観を自分の中に植え付けるということも起こります。

管理者も「自分なりの評価基準が安定しだした」のはつい最近のことです。そういう意味では長く続いた呪縛、恐るべし!というところでしょうか。

そんな管理者は、自分がいいと思って入手した時計を、色々ありますがそれでも何とかして、細かいところに目をつぶりつつ、一線級として使うことが、今はとても楽しく感じています。

自分の責任で、他人に迷惑を極力かけないようにしつつも、好きなものを好きに楽しむ。趣味の領域は、自分で決める。他人と(メディアと)比べて、焦ることも卑屈になることもない。好きなことをまっすぐ楽しむことができれば、それはもう充分楽しいのではないかと思います。

とはいえ最近ネットオークション、高いなぁ。